8月号「ライフステージの中における産業保健の関わりの重要性」

 

今月の配信を担当します田中千恵美と申します。4人のワーキングメンバーの中で唯一の看護職(保健師)です。詳細はメンバー紹介を参照いただきたいのですが、今までに臨床、地域保健そして産業保健分野を経験してきました。

市の保健師をしていた頃から思うことがありました。

母子手帳交付から介護保険まで住民の方のライフステージ全てに関わる人々が地域保健の対象となります。

私が働いていた市には、元気な高齢者を対象に自宅の近くの小さな公民館で年に4回程度健康に関する集団の講話と血圧測定を行うという事業を行っていました。(現在も継続されているようです)そこでは、元気な高齢者の方々に、主な疾病、食事や運動などの生活習慣改善の話や健康体操などを実施していました。そこでいつも思っていたのが「職域での支援がごっそり抜け落ちている!」ということでした。75歳以上になって初めて保健指導を受ける方々も多く、そこから生活習慣の行動変容に取り組んでも、もちろんいいのですが、もっと早くお会いしたかった!と痛感する日々でした。長年の生活習慣を変えて、それを継続するというのはやはり至難の業なのです。

行動変容には*

①知識・・・何をどうすればいいのか、それはなぜなのか

②意欲・・・自分の習慣を変えよう

③技術・・・必要な行動変化を起こしそれを続ける

 足達俶子 行動変容につながる保健指導・生活習慣改善のための行動療法

これらの要素が必要です。対象者に合った正しい情報を届け、意欲を持ち、行動変化に繋がることができるように専門職が継続的に介入することによって行動変容とその継続に近づいていけると考えています。そのためには、それぞれのライフステージ応じて、途切れない支援が必要だと思います。

現在、学校教育の現場では、がん予防など、様々な望ましい生活習慣についての情報を得る機会も増えてきました。地域保健もそれぞれの県や市町村の特徴を活かした取り組みが展開されています。現実にはいまだ職域や事業所の規模によって適切な保健指導を受ける機会にまだまだ差が多いのが現状です。所属する事業所の規模や業種に偏ることなく「すべての働く人々に産業保健を届けていく」ことができ、地域や学校とうまく連携がとることができたら、健康寿命の延伸やメンタルヘルス対策の充実、発達障害などの様々な支援が必要な人々が途切れなくサポートを受けることができる社会に近づくことができるのではないでしょうか。

 

大きな理想を語りましたが、このワーキンググループの活動がその小さな第一歩につながっていくことができればと思っています。

 

                        2021年8月

                        田中 千恵美