8月号「産業保健分野で活動することの魅力」

 

 今月の配信を担当します田中千恵美と申します。4人のワーキングメンバーの中で唯一の看護職(保健師)です。詳細はメンバー紹介を参照いただきたいのですが、今までに臨床、地域保健そして産業保健分野を経験してきました。

 

 今回は、産業保健活動の魅力について私見を書かせていただければと思います。

 

【地域保健の必要性と限界】

 地域の健康づくり事業は大切です。生活の基盤となる市町村等が中心となって住民参加型の「地域づくり」に関わっていくことが市町村保健師の醍醐味でもあります。地域住民を巻き込んで活動していきます。やりがいがある反面、フィールドが“地域”ですので、事業効果が感じにくいという面があります。

 熱心に取り組む方々がいらっしゃる反面、そうでない方も多数います。アプローチの限界を感じるのも事実です。特に日中は地域にいない、もしくは地域の健康づくり活動に参加できない“働く人々”への関りが難しい面があります。

 

【産業保健活動の醍醐味】

 職域を対象とした保健活動は、分母となる対象者が限定され、事業所の形態も把握でき、丁寧に情報収集することで、事業所の特徴の把握も地域に比べると捉えやすい側面があります。また活動の成果の評価も数値での把握に加えて、皮膚感覚でも感じやすい傾向に

あります。弊社の場合、様々な事業所と業務委託契約を締結して産業保健サービスを提供しているので、事業所ごとに活動の内容が全く異なります。それぞれに対応する必要がありますので、その部分においては煩雑な面もあるのも事実です。職域と地域は繋がってお

り、働く人はもちろん家庭に帰ります。家族もある程度良好な状態でなければ安心して働くことはできません。また、家族も、働く大人が良好な状態でないと安心して生活できません。産業保健においても、働く人と家族に対する視点を持つことも重要だと思っていま

す。

 

【すべての人々に産業保健を届けたい】

 産業保健活動の魅力は大きいものの、その恩恵を受ける「働く人」は限られているのが現状です。大企業であれば、労働安全衛生法の根拠もあり、産業医や保健師等の産業保健サービスを受ける機会が設けられています。一方中小零細企業は極端にその機会が少なくなります。すべての人々に産業保健を届けられることが今後さらに重要性を増してくることとなります。その方策のひとつとして、中小零細企業の経済的負担も鑑みて、産業看護職の法制化に向けた取り組みに少しでも寄与できればと考えています。

                         

                        2022年8月

                        田中 千恵美