11月号「事例検討会を振り返って」

 

 産業保健に関するワーキンググループでは、今まで2回の事例検討会を開催してきました。第1回は、地域・学校・福祉・介護・地域医療との連携を通して産業保健の関わりについてALS患者をもつ1つの家族の事例を検討。また第2回は、健康診断事後措置をテーマに産業保健と家庭医療のそれぞれの視点から検討を重ねました。

 

 これらの事例検討会を開催する中で私に求められている役割は、「産業保健のテーマを検討する中で見えてくる家庭医療からの視点」をきちんとした形で参加してくださる皆様に提示する事だと考えています。しかしながら私にとってこれが毎回毎回なかなか困難な作業になっており特に次回の第3回(1118日開催予定)は、テーマが「職場巡視」です。どうやったら家庭医療と職場巡視が結びつくのか?私の四苦八苦ぶりにご興味のある方は是非とも第3回事例検討会へご参加ください。

 

 さて家庭医療と産業保健の接点ってどんな事があるだろう?と不思議に思われる方もいるかもしれません。例を挙げてみますね。例えば外来に血糖コントロール不良の患者さんが受診すると考えてみましょう。処方された内服薬もきちんと飲めない。受診間隔もあきがちで食事のカロリーも守れない。何度指導しても改善しない。イライラする前に産業保健の視点から見たらどうでしょう?もしかしたら仕事や職場に原因があるのかもしれません。長距離トラック運転手で食事も不規則・運動不足の毎日で遠方に行くと治療も中断しがちだったりする。こういう傾向はタクシー運転手や建設業など長期出張や深夜作業が多い職場などにも当てはまるかもしれません。

 

 

 第2回では参加者の皆様に非常に反響の大きかったスライドがありました。これを最後に提示します。プライマリケアの現場でよく遭遇するこれらの値ですが、産業保健の視点から見ると実は「就業制限を検討すべき状態」なのですね。逆に「この値では働けないかもしれない」と指摘する事で治療に前向きになる労働者もいるそうです。こうしてプレゼンターや参加者の皆様と一緒に学んだり議論したりする中でお互いの間に想定外の素敵な化学反応が起きる。この瞬間がとても興味深いと最近実感しています。

 

                        2021年11月

                        富田 さつき